2014年

- 001 おんなじ血。違う躰に脈打って-

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 「また痩せたんやないと?」
 詩朗がひなたの浮き出た肋骨を冷たい長い指で辿る。
 「ちょうど40キロ。」
 裸になると、身長170cmのひなたは、長すぎる手足を持て余した子どものように頼りなく見える。
 「骨盤が浮いていて、難民みたいやん。ちゃんと食べようと?」
 詩朗の指が骨盤に伸びて、ひなたはその冷たさにぞくりとする。
 「詩朗ちゃんが来てくれないからやん。」
 「僕が来んでも、ちゃんと食べりーよ。」
 「食べてるもん。」

 ひなたと詩朗は双子で、同じ顔をしている。だけど、詩朗はひなたを囲っているのだし、ひなたは詩朗に囲われている。
 二人が肉体関係を持つようになったのがいったいいつからのことなのか、もはや二人のどちらも思い出せない。気がつくと双子は躰を重ね合うようになっていた。
 詩朗は、週に二度ほど、ひなたのマンションを訪れる。それ以外の日は、ひなたは大抵眠るか、川柳ブログの更新をする。


 わたしと詩朗ちゃん(弟)は、双子なわけだけど、ちっとも似ていない。限りなく善良だ。買い物や病院に連れて行ってくれるし、シャンプーやトイレットペーパー(わたしは生まれてこのかた、トイレットペーパーと云うものを自分で買ったことがない)を買って来てくれる。爪を切ってくれるし、髪を洗ってくれる。わたしと血が繋がっているとは、到底思えない。

・おんなじ血。違う躰に脈打って

・絡み合う別々の熱ベッド上

・曼珠沙華わたくし、嫉妬してゐます

・フローライト銀河を映し掌に

・ハウライト世界を照らす闇の音/・血管をゼリー流るる夜の淵

・無防備な半袖の腕冷えた夏

・砂浜に人骨溶けて星の砂

[拍手] 2013年 2015年
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